急に膝の痛みを感じるようになった方へ
「朝起きたら膝が痛い」
「運動中・運動後に急に膝が痛くなった」
このような急な膝の痛みは、何らかの病気・ケガによって引き起こされている可能性があります。特に痛みが続く、繰り返し起こる場合には、お早めに当院にご相談ください。
急な膝の痛みの原因
膝の軟骨・半月板・靭帯の損傷
年齢とともに、軟骨のすり減りや半月板・靭帯の弾力の低下が進行します。一方で、急激な負荷によって軟骨や半月板、靭帯が損傷し、膝の痛みを引き起こすことがあります。
関節炎
急激・繰り返しの負荷によって、関節に炎症が生じ、痛みを引き起こすことがあります。炎症や摩耗により関節液の性状が変化し、関節の動きが悪くなることもあります。
滑膜炎
関節の内側を覆う滑膜で炎症が起こり、膝に痛みが生じることがあります。背景に関節リウマチがあるケースも見られます。
筋肉の炎症
過度な運動などにより、大腿前面の筋肉や腱に炎症が起こり、膝の痛みとして現れることがあります。
膝に痛みがある場合に考えらえる疾患
膝の痛みは、関節や軟骨、靭帯、半月板、筋肉などのさまざまな組織が関係して起こります。
ここでは、代表的な疾患についてご紹介します。
変形性膝関節症
加齢や体重増加などにより、膝関節の軟骨がすり減って炎症が起こる病気です。初期は立ち上がりや歩き始めに痛みを感じ、進行すると階段の昇降が困難になります。関節の腫れや変形がみられることもあります。
半月板損傷
膝関節のクッションの役割を持つ「半月板」が、スポーツや加齢によって損傷することで痛みが生じます。膝をひねった際に「ポキッ」と音がして痛みが出ることが多く、膝の引っかかり感や可動域制限を伴う場合があります。
靭帯損傷(前十字靭帯・内側側副靭帯など)
膝関節を安定させる靭帯が、スポーツや転倒で伸びたり、切れたりすることで発症します。受傷直後は強い痛みや腫れがあり、膝がぐらつく「不安定感」が特徴です。早期の診断とリハビリが大切です。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作を繰り返すことで膝蓋骨(お皿の骨)下部に炎症が生じます。膝を曲げ伸ばしした際の前面の痛みが特徴で、スポーツ愛好者に多く見られます。
鵞足炎(がそくえん)
膝の内側にある腱の集合部「鵞足」に炎症が起こる疾患です。ランニングや階段の上り下り、正座の際に膝の内側が痛むのが特徴です。使いすぎや姿勢のクセが原因になることもあります。
関節リウマチ
免疫の異常によって関節に炎症が起こり、膝をはじめとする全身の関節に痛みや腫れが生じる病気です。朝のこわばりや両膝の同時痛が特徴で、進行すると関節の変形を招くこともあります。早期治療が重要です。
膝の痛みの検査・診断

診察・触診
まず、痛みの出る部位や動作、発症の経緯、既往歴、日常生活やスポーツ活動の内容などを詳しく伺います。
そのうえで、膝の腫れ、熱感、可動域制限、関節の安定性、圧痛の有無などを確認します。
膝の靭帯損傷や半月板損傷、関節炎、変形性膝関節症などの可能性を総合的に判断します。
レントゲン検査
膝関節の骨の変形や関節の隙間の狭小化、骨棘(こつきょく)の有無など、骨の状態を確認します。
変形性膝関節症、骨折、脱臼などの診断に有用です。
MRI検査
靭帯(前十字・後十字・側副靭帯)や半月板、軟骨、関節包などの軟部組織の損傷を詳しく確認します。
スポーツ外傷や慢性的な膝痛の原因を明確にするために重要な検査です。
超音波(エコー)検査
膝関節内の滑膜炎、関節液の貯留、腱や靭帯の炎症、筋肉の損傷などをリアルタイムで観察できます。
レントゲンではわからない軟部組織の異常の確認に役立ちます。
CT検査
骨の微細な骨折や変形の程度を詳細に把握するために行います。
骨折や骨腫瘍など、骨構造の精密な評価が必要な場合に有効です。
関節液検査(関節穿刺)
関節内に炎症や感染が疑われる場合に、関節液を採取して検査します。細菌感染、痛風、関節リウマチなどの鑑別に用います。
※CT検査、MRI検査が必要な場合は、近隣の提携病院・クリニックをご紹介いたします。
膝の痛みに対する治療法
原因となる病気・ケガによって違いはありますが、主に以下のような治療を行います。
薬物療法
外用薬
痛み・炎症を抑える消炎鎮痛剤入りの外用薬(湿布・塗り薬)などを使用します。
鎮痛薬
消炎鎮痛剤の内服です。ただし、長期にわたる内服は、胃腸障害などの副作用のリスクが高くなります。
関節内注射
関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸注射や、強い炎症や痛みに対して行うステロイド注射を行うことがあります。
理学療法
装具療法
必要に応じて、膝サポーターなど装具を使用します。膝サポーターやインソールなどを併用することで、膝への負担を軽減できる場合もあります。
物理療法
冷却・温熱、超音波、電気などの物理的な刺激によって、痛み・炎症の改善を図ります。
運動療法
痛みが落ち着いてからは、膝まわりを中心とした筋力・柔軟性のアップを目指したトレーニングを行います。特に、大腿四頭筋やハムストリングス、下腿三頭筋の強化が有効と言われています。
生活習慣の改善
膝の負担を軽減することは、治癒の促進・再発の防止に役立ちます。姿勢・動作についての指導、手すりの設置や、布団からベッドへの切り替えなどの生活環境の改善をアドバイスします。
クーリーフ
(高周波熱凝固術)
クーリーフは、膝の痛みを伝える神経に対して、専用の電極で低温(約60℃)の熱を加えて痛みの信号のみをブロックする治療です。
従来の神経ブロック注射とは異なり、効果が数か月〜半年以上持続することが多いのが特徴です。
体外衝撃波
体外から高エネルギーの衝撃波を、膝周囲の痛みの原因となっている部位に集中的に照射することで、血流の改善や組織修復を促し、痛みの軽減や動作時の違和感の改善が期待されます。
薬物療法や注射、理学療法などで十分な効果が得られない場合の選択肢となる治療で、メスを使わない非侵襲的な方法です。なお、体外衝撃波治療は膝関節の変形そのものを治す治療ではなく、あくまで痛みや機能障害の改善を目的としています。
ハイドロリリース
(エコーガイド下筋膜リリース)
ハイドロリリースは、筋膜や神経の周囲に薬液(生理食塩水など)を注入し、癒着をはがして滑走性を改善する治療法です。膝まわりの組織が硬くなって動きが悪い場合に有効で、痛みの軽減や可動域の回復が期待できます。
再生医療(PDF-FD療法)
膝の痛みに対しては、再生医療(PDF-FD療法など)が有効となる場合があります。
患者様ご自身の血液から抽出した成長因子を高濃度に含む成分を患部に注入し、傷んだ軟骨や靭帯、滑膜などの修復を促す治療法です。自然治癒力を活かして炎症の改善や痛みの軽減を図り、手術を避けたい方にも選ばれています。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合には、手術を検討します。
手術が必要になった場合には、提携病院を速やかにご紹介します。
病院を受診する目安
以下のような症状が認められる場合には、お早めに当院にご相談ください。
もちろん、以下に該当しない場合にも、気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
- 痛みで歩行、階段の上り下りが辛い
- 腫れ、熱感がある
- 膝の不安定感がある
- 膝の曲げ伸ばしが困難
- 痛みなどの症状で仕事やスポーツができない
- 夜眠れない等、日常生活に支障が出ている